イベント講演会「“わかりやすさ”の罠にはまらないために 〜ネット時代のテレビ報道〜」を開催しました。
本日、テレビ東京執行役員報道局長の福田裕昭氏をお招きし、
講演会「“わかりやすさ”の罠にはまらないために〜ネット時代のテレビ報道」
を開催しました。
会場は満員御礼!
開場時刻より早めに来場された方も多く、皆様の講演への期待が感じられました。
講師の福田さんは1984年にテレビ東京に入社されました。
政治記者、「ワールドビジネスサテライト」デスク、
「ガイアの夜明け」の初代プロデューサーを経て政治部長に。
震災時の河北新報社を描いたドキュメンタリードラマ「明日をあきらめない・・・
がれきの中の新聞社」で日本放送文化大賞グランプリを受賞されました。
池上彰の選挙特番ではNHKを除くキー局で視聴率トップを叩き出し、
第64回菊池寛賞を受賞しました。
そんな福田さんと池上氏のなれそめをお話しいただいたあと、
池上氏に惚れ込んだ理由について、「とりあげるテーマ自体は結構難しいのに、
難しいことをやさしい言葉で伝えるのが池上さんの真骨頂」と語られ、
一緒に世界を取材してまわったエピソードなどもご披露いただきました。
さらに、片端から読んだというお父様の本棚にあった古典をベースにした
「圧倒的な読書量」を挙げ、(一般的なニュースであっても)
「深い教養を持った、伝える専門家が伝える」ということが強みとお話しされました。
また、最近のニュースからということで、相次いで起きた痛ましい交通事故に関する報道や
記者の取材に関する姿勢について言及。「取材者は一人の人間として品性を持たなければならない。
仕事をするうえで謙虚さが必要」と語られました。
そのほか新聞・テレビなど既存メディアの悩みや、
放送局がネット事業にかかわる時に考えなければならないことなど
多くの刺激的なテーマについてお話しいただきました。
最後にこの講演のテーマでもある「わかりやすさの罠にはまらないために」。
福田さんは“わかりやすさの罠”の一つとして、情報の得やすさを挙げました。
「今までだと情報を得るためには、辞書を引いたり、知っている人に聞いたりして
作業は大変。今は利用者が知りたい情報を瞬時に得られるようになった。
しかし、そこに罠(落とし穴)がある。利用者は安易に情報を信じないで
自己防衛する必要がある。そこで、本、図書館の利用。
教養と知識を身につけて疑問符を投げかける態勢を固めておきたい」と
まとめられました。
さらに「政治家などの権力者、報道(マスコミ)、受け手(利用者・国民)の3者は常に
向き合って生きている、鏡のような存在。権力は長く続くと腐敗するといわれているが、
これは歴史から学ぶ教訓でもある。マスコミは受け手(TVなら視聴者)の人気取りのようなことばかり考えていると
“マスゴミ”と言われて見放される。受け手は受け手で何もしなければ、権力の思うツボ。
マスコミのレベル低下を招く」と警鐘を鳴らし、「ここで出番なのは、不動の存在『知性と教養』。
本には悪書・良書問わず、人間という生き物が人間らしく生きられるための術が描いてある」と
生涯かけて本を読み知識を深め続けることの大切さを説かれました。
来場者の皆様は真剣な表情で聞き入っておられ、
質疑応答ではたくさんの方にご質問をいただきました。
講演終了後も、福田さんに質問したい方の列ができるほど。
アンケートでも多くのご意見を頂戴し
皆様の知への欲求の高さをあらためて感じることができた講演会となりました。
篠崎図書館では今後も利用者の皆様の関心に応えられるよう
様々な講演会を企画していく所存です。
今後も多くの方のご来場をお待ち申し上げております。