イベント講演会「SDGs 私たちにできること 〜先進国デンマークに学ぶ〜」を開催しました。
本日、篠崎図書館ではデンマーク大使館上席商務官の田中いずみ氏をお招きし、
講演会「SDGs 私たちにできること 〜先進国デンマークに学ぶ〜」
を開催しました。
2030年までの達成を目指して、国連加盟国で掲げられた「持続可能な開発目標SDGs」。
デンマークはこのSDGs達成国ランキングのトップクラスです。
SDGsとはどんなもので、デンマークではどのような取り組みをしているのかについて、
全17の目標から3つに焦点を当ててお話しいただきました。
SDGsの先進国であるデンマーク。
国土はおよそ日本の1/10、人口は1/20ほどの小さな国ですが、
1人あたりのGDPが高く裕福で、国民の幸福度ランキングも上位なのだそうです。
SDGsの達成度ランキングには、デンマークを含む北欧の国々が上位にランクインしています。
コマーシャル等で耳にする機会も増えたSDGsですが、
よく分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
17の目標には、貧困から技術開発、経済、教育、環境問題まで、
地球上の課題が広くあげられています。
「環境保全と経済成長が対立するものではなく、両立し互いに支え合うものである」という
考え方のご紹介があり、「持続可能な開発」とは何なのかを
日本とデンマークの具体的な評価や傾向を交えて分かりやすく解説していただきました。
ポイントは、国連加盟国すべてがSDGsを掲げていることなのだそう。
先進国だけでなく、途上国だけでもない、状況や課題が違う国が工夫し
「持続可能」な世界を実現するために同じ目標に向かっているのですね。
その中でどうして、デンマークは特に達成度が高いのでしょうか。
デンマークでは長年、持続可能な経済発展やクリーンな経済成長に取り組んできた背景があり、
それがSDGsの目標と合致しているのではとのことでした。
さらに、SDGsの認知度が日本国内ではまだまだ低かった2017年、
デンマークでは財務大臣が責任者となり、早くも自主レビューを実施していたのだそうです。
国をあげての関心度がうかがえます。
続いて、日本とデンマークの現在の評価と傾向から、具体的に3つの目標をピックアップし
さらに詳しくお話しいただきました。
「5 ジェンダー平等を実現しよう」は、日本では最大の課題であるとされながら、
傾向は後退していると評価されている目標です。
デンマークにおいても課題が残っているとはされていますが、達成に向けて進んでいると評価されています。
デンマークでは、女王の謁見を含む公式の行事に同性の配偶者が参加でき、
またキリスト教が浸透している国であるにもかかわらず、教会では2012年から
同性婚の結婚式を挙げられるようになったことなど、いくつかの具体的な事例をご紹介いただきました。
デンマークの平等を重んじる文化がこういった事例の背景にあり、
国がバックアップして積極的に取り組んできたのだそうです。
次にピックアップされた目標は「7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」です。
現在、日本国内でのクリーンエネルギーといえば水力発電ですが、
一方、デンマークの最高標高は170mほどで、水力発電には向いていません。
ところが2019年には、なんと72%の電力をクリーンエネルギーで供給したのだそう。
主力は洋上風力発電で、1991年、世界で初めて洋上風力発電所が建設されたのもデンマークでした。
青い海の上に建ち並ぶ風力発電の風車の写真は壮観です。
デンマークでは、オイルショックにより大きな打撃を受けた経験から、
「2050年までに化石燃料に依存しない社会をつくる」ことを長期目標に掲げていたので、
国内電力の大半をクリーンエネルギーでまかなうことに成功しているのだそうです。
これは、最後にピックアップされた目標「13 気候変動に具体的な対策を」とも関係があります。
この目標は日本、デンマークともに最大の課題だとされています。
デンマークはこの課題に対して、企業との対話や学校づくりの面から取り組みをしているのだそう。
SDGsに貢献している企業のひとつ、オーステッド社は、洋上風力発電のパイオニアとのことです。
参加者の皆さまは、途中うんうんと頷いたりメモを取られるなど、
SDGsに対しての関心の高さがうかがえました。
先生のお話から、SDGsの目標達成には多くの努力が必要で
デンマークはそのために多くの具体的な取り組みをしてきたことが分かりました。
また、必要な努力の内容は各国共通ではなく、
それぞれに合った方法で取り組んでいく必要があるのですね。
先進的なデンマークの事例は日本の私たちにとっても、SDGsを考えにあたって大変参考になるのではないでしょうか。
未来の世界のために、今私たちに何ができるのか。
考えるきっかけになりましたら幸いです。