イベント講演会「春はあけぼの」をご存じですか? 〜ホントは○○な『枕草子』のコトバたち〜 を開催しました。
本日、篠崎図書館で、
講演会 「春はあけぼの」をご存じですか? 〜ホントは○○な『枕草子』のコトバたち〜
を開催しました。
中田幸司氏(玉川大学文学部国語教育学科教授)をお招きし、
「春はあけぼの」から始まる枕草子について読み解いていただきました。
「枕草子の時代はすごくざっくり言うと、今のコロナの時代に近いのかも」と中田氏。
当時、清少納言が仕えた中宮定子の父・藤原道隆が亡くなり、兄の伊周も左遷され
定子も産後の肥立ちが悪くて亡くなってしまいます。
さらにその頃、流行り病もあったという説もあるそうで……。
「春はあけぼの」「をかし」と明るい枕草子ですが、
実はそういった暗い時代を背景に書かれたものなのです。
言葉をみる時には、その前後の文脈がどうなっているのかしっかりおさえないと
今の”切り取り報道”のようなことになりかねないと指摘。
書かれたことの下敷きとなっている教養や時代背景を知ることが
作品をより味わうことにつながるようです。
枕草子は清少納言ひとりだけが、個人レベルで書いていたものではないのかも?
白い梅の香を愛でる時代に、紅梅の魅力を語る清少納言。
人とはちょっと違うことを言えるのは彼女の個性か、それとも立場か?
枕草子の「作者」の謎にも迫ります。
最初は「春はあけぼの……」のくだりを覚えさせられて嫌いになった人もいるのでは?
という講師からの問いかけにうなずいていた会場の皆さん。
次々披露される枕草子にまつわるエピソードに、楽しそうに笑ったりうなずいていたりされていました。
最後に「何かを見た時に前後の文脈はどうなっているのかという横の視点と、
重層的な下敷きは何なのかという縦の視点を持たなければ」と改めて言及。
「視点をどこに置くかで(枕草子の)読みの見え方、世の中の見方が変わる。
枕草子を今読むことはそういう意味があるのでは」と締めくくられました。