イベント「翻訳がつなぐもの 〜日本翻訳大賞選考委員によるスペシャルトークショー〜」を開催しました。
1月13日(土)、篠崎図書館で
「翻訳がつなぐもの 〜日本翻訳大賞選考委員によるスペシャルトークショー〜」
を開催しました。
「日本翻訳大賞」は翻訳作品を対象にした賞です。
作品自体の魅力に加え翻訳の素晴らしさや意義など、
翻訳者の訳業に焦点を当てた独自の賞として今回第10回を迎えます。
現在の選考委員は岸本佐知子氏・斎藤真理子氏・柴田元幸氏・西崎憲氏・松永美穂氏です。
本日は同賞に関することはもちろん、翻訳にまつわる様々な話題について語ってくださいました。
「じゃんけんで負けた」という斎藤さんが司会です。
まずは、翻訳大賞について、この10年で印象に残ったことをそれぞれお話しいただきました。
第1回受賞作の「カステラ」について
すでにその頃からあった韓国文学の広がりの芽を見つけ、
光をあてられたことが誇らしいと語る岸本さん。
「マーダーボット・ダイアリー(上下)」が第7回で受賞した時、
SFファンが「弊機おめでとう!」と盛り上がったことも印象的だったそう。
読者の情熱的な推薦を受けて、
私の知らない本を読ませてもらったと語る松永さん。
柴田さんが一番驚いたのは第6回受賞作の「精神病理学私記」。
「訳文をチェックすると全然違うのに、換骨奪胎が見事でポイントをおさえている。
元の文章が言わんとしていることを形は変えてもきちんと伝えていてすごい」
とおっしゃいます。
柴田さんの発案で、ひとりひとり翻訳に関わる珍しい物や思い出深い品、愛用品などを
持ち寄って、エピソードを語ってくださいました。
斎藤さんは大正6年に出版された朝鮮語会話の本と
ハングル版五十音が刺繍された布を持参されました。
この刺繍は、30年位前にご自身で刺したものだそうです。
西崎さんは平井呈一(中菱一夫の筆名)のサインと蔵書印が入った本、
柴田さんは愛用のタイマー、松永さんは3言語で書かれた本など
岸本さんは「ノリーのおわらない物語」を訳した際に
”言い間違い”を集めたノート。
そのノートに書かれた子供の反省文を岸本さんが朗読し、
西崎さんがギターで伴奏をするという一幕も。
また、話の流れで岸本さんが貴重な情報を教えて下さいました。
柴田さんが、映画「PERFECT DAYS」に出演しているのだそうです!
柴田さんいわく「写真屋のおやじ」役。
映画をご覧になる方、ぜひ探してみて下さいね〜。
トークショーの後半では各先生方が2〜3冊お薦め本を紹介してくださり、
去年に引き続き今年も西崎さんの「日本翻訳大賞一般推薦の歌」の
弾き語りで幕を閉じました。
本講演が、来場された皆さまにとって翻訳文学に親しむきっかけになれば幸いです。