BLOGしのざ記

Today 2025/05/01

今月の館長展示今週紹介する図書(今月の館長展示 テーマ:動物)

【登録日: 2013年09月25日 】


今月のテーマは動物です。9月は動物愛護週間
(9月20日〜26日)があります。動物に関連し
た本を紹介していきます。

今週紹介する本はこちらです。

アーロン・スキャブランド(著), 本橋 哲也 (翻訳)
『犬の帝国―幕末ニッポンから現代まで』


みなさんは「忠犬ハチ公」の話をどれだけ知っ
ているでしょうか。最初は東京帝国大学の上野
英三郎が飼っていました。

上野氏が急死したあとも、彼を渋谷駅で迎えに
行く姿が有名になりました。忠実さを記念して
渋谷駅そばに等身大の銅像が建てられました。

像は戦争による金属供出によって失われました。
戦後、再び建てられましたが、「忠犬」という
言葉は修身教育との結びつきがあるため「愛犬」
と呼ぶように提唱されました。

しかし、愛犬と呼ぶのはふさわしくないという意
見も出ました。


本書によるとハチ公が有名になったのは、愛犬
家から政府官僚までもが、ハチ公には日本的性
質、純血、ひとりの主人への献身などが体現さ
れているとみなしたからであるといいます。

犬が個人に服従し、集団のために殉ずることを奨
励する都合のいいものになったとあります。

また、ハチ公だけではなく「のらくろ」について
も記されています。本書には豪勇部隊を率いてい
るのらくろが描かれている「少年倶楽部」の
1938年1月新年特別号付録の表紙も掲載されています。

犬について少し視点を変えてみるのもいいと思います。