BLOGしのざ記

Today 2024/04/17

イベント篠崎図書館リニューアル15周年記念講演会「出版社トップにきく出版の裏側 〜ここだけの話、しちゃいます〜」を開催しました。

【登録日: 2023年07月08日 】

本日、篠崎図書館で、篠崎図書館リニューアル15周年記念講演会

「出版社トップにきく出版の裏側 〜ここだけの話、しちゃいます〜」

を開催しました。

平凡社代表取締役会長の下中美都さんと、

筑摩書房代表取締役社長の喜入冬子さんをお招きし、

平凡社と筑摩書房の創業話や編集者はどういった思いで仕事を

しているのかなど、熱く出版への想いを語っていただきました。

 

 

まず初手は筑摩書房の喜入さんが、筑摩書房についての紹介と

現在の出版業界の状況について語ってくださいました。

筑摩書房の創業は1940年。社員数は80名程度の中小企業では

あるものの、出版業界では中堅と呼ばれる存在とのこと。

出版社というと「小学館」「講談社」「角川書店」「集英社」が

有名ですが、実は出版業界には規模が小さく社員数が1桁の中小企業も

多く存在しているのだそうです。しかし、明治の頃に創業し、

今も続いている老舗出版社もあるのだとか。

出版業界の世界は、大小では測れない深い世界なのですね。

 

そんな筑摩書房の最大のヒット作は太宰治の「人間失格」。

色々な出版社に断られ続けたこの作品を筑摩書房が出版したことにより、

「人間失格」は今も読み続けられる作品となったのです。

しかし「いいものを作ろう」と拘り続けたせいで筑摩書房は1978年に

一度潰れてしまいます。今日の筑摩書房は、「いいものを作る」信念は

そのままに、人々の手に取ってもらいやすい書籍を出版されています。

 

 

続いて平凡社の下中さんが、平凡社の創業秘話を語ってくださいました。

なんと1914年に創業した平凡社の創業者は、下中さんのご祖父様。

随分と貧困に喘いだ幼少期だったそうですが、読書がお好きな方

だったそうです。最近平凡社ライブラリーで復刊された「や、此は便利だ」は、

当時大変なヒット作であったのだとか。他にも平凡社は「大百科事典」や

「別冊太陽」など、ビジュアルを重視しながら一つのテーマを掘り下げている

書籍や雑誌を多く出版しています。

 

 

編集者は「これを未来に残したい!」という使命感を持ち、多くの労力と

情熱を注いで著作物を編み上げ、この世に出版しているのだと語るお二人。

各出版社の哲学を持ったうえで中身が信用のおけるものだと担保することは

出版社の責任。1冊1冊の本に著作者、編集者、校正者たちの熱く、強い思いが

入っているのだということがヒシヒシと伝わってきました。

 

 

また、最近の出版事情やインターネットでの情報検索に

ついても言及してくださいました。

コロナの規制が緩和された現在は、コロナ禍前と同じように

出版物の売り上げは下降傾向にあるのだとか。

現在はインターネットでなんでも調べることが出来ます。

しかし「たまたま」出会った本や雑誌、新聞など紙面となっているものは、

ネットなどで自分の好みの記事を選んで読むのとは情報量が圧倒的に違う

と言います。

「一見無駄に思えても、それが違う世界を知る機会に繋がったりもする。

ネットから得る情報はもちろん便利だが、それらに頼りすぎるのは、

新たな世界を知る機会を失ってしまっているのではないかと感じる」と

お話くださいました。

 

 

そして会場の皆様へ向かってのお二人のお願いは

「これぞ!という本は、ぜひ購入していただきたい。」

ということ。

「単に売れそうなものを作るのではなく、今、世に必要だと

思うものを出したいと情熱をもって作っているが、結局読者が

本を買ってくれないと出版社は新しい本が作れず潰れてしまう。

本の面白さを解ってくれている人には、「本」を支える人にも

なってもらいたい。」というお願いは、いち本好きとしても

身につまされるお言葉でした。

 

 

最後になりますが、篠崎図書館では皆様の関心に応えられるよう、

今後も様々なイベントを企画していきます。

多くの方のご参加を心よりお待ちしております。