今月のテーマは車です。車に関連した本を紹介していきます。
今週紹介する本はこちらです。

中部 博(著)『定本 本田宗一郎伝―飽くなき挑戦 大いなる勇気』

ホンダの伊東孝紳社長が5月16日、都内で会見し、2015年に
F1 （フォーミュラ1 Formula One）に復帰することを正式発
表しました。2008年の撤退以来7年ぶり4度目のF1参戦です。

この本は本田宗一郎の伝記です。「第18章　F1グランプリへ
の参戦」以降に1964年にホンダがF1に初参戦した当時のこと
が書かれています。

みなさんは「走る実験室」という言葉を聞いたことはあります
でしょうか。この言葉は本田宗一郎が、F1活動を表現するとき
に好んで使っていました。

一方でF1参戦の責任者である中村良夫はこのフレーズがひとり
歩きすることに対して否定的でした。というのも中村氏はF1の
車は、「走る実験室」ではなく、スポーツ・マシンと理解して
いたからです。

また、F1のために開発された技術が直接市販車につながる時代
は終わると思っていました。

第23章では本田宗一郎の社長退陣の経緯が記されています。彼
と関係者のやり取りが丁寧に書かれ、巨大企業ならではの複雑
な事情をうかがい知ることができます。

本田宗一郎の思いと会社関係者のそれぞれの思いが詰まってい
る1冊です。