BLOGしのざ記

Today 2024/12/10

地元情報ムジナモ(貉藻)

【登録日: 2009年11月13日 】
 ムジナモという植物をご存知ですか?
淡水に生育する食虫植物で、北半球のところどころに分布しています。

 明治時代に、江戸川沿いを散策していた牧野富太郎博士が、「ん?あの不可思議植物は何だろう??」と水辺に寄り、本邦での分布がはじめて確認されました。植物学の泰斗の観察力と注意力はすごいものですね。
 その後生育地が何か所か発見されましたが、生育環境の悪化に伴って江戸川産も含めてすべて消滅し、今は人為的に保護されて生き延びています。

 

 こんなムジナのシッポのような形で水に浮いて生活しています。長さは20cmになります。モウセンゴケ科に所属するだけあって、葉が虫取り専門に分化して半月形の袋になっており、ミジンコをつかまえます。



 江戸川ゆかりの植物ということで、NPOえどがわエコセンターがムジナモを繁殖させ、区内の栽培ボランティアに配って繁殖の裾野を広げています。冬に向かい、ムジナモは生長をやめて冬眠体制に入ります。そこで、栽培の節目として、昨日、ボランティアが集まって栽培報告会が開催されました。

 ムジナモは水温や水質に敏感な植物で、8人の参加者のうち、夏を乗り切った人が4人、乗り切れなかった人が4人。つまり、栽培成功率は50%にとどまりました。なかには、5年目にしてはじめて生育サイクルの完成を見届けた方もいらっしゃって、その方はうれしさの伝わる立派な報告書を作成されていました。
 え、わたしですか? わたしのムジナモは夏の終わりにみるみる衰弱し、次世代を残せませんでした。pHも弱酸性(pH6.7程度)を保ち、天敵サカマキガイに水槽から退出ねがい、絡みつくアオミドロも丁寧に取り除いたのに。



 来年はリベンジし、図書館で展示できるほどもわもわと大量に繁殖させることを誓っています。ムジナモは、河川のいきものの共存を知るよい指標になるので、エコロジー関連展示の材料としておもしろいのではないかと考えています。